
地域とつながるシェアハウス構想
2017/11/12
まちやど管理人 せい子です。
日本や海外で住み込みやハウスシェアなど、
様々なくらし方、働き方を経験して、
生まれ故郷の青森から、東京、イギリス、沖縄を経て
2010年より岐阜県郡上市に移住しました。
2014年に郡上八幡でゲストハウスを開業。
まちやど活動を通して、都会と地方、家族の枠を超えて、
それぞれが生きたい場所、暮らしたい場所で
自分らしく生きられる社会を目指して日々活動しています。
まちやど管理人 木村せい子のプロフィールは こちら。
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先日、郡上カンパニーローカルベンチャーアイデア採択の面談があり、
昨日11月11日(土)採択決定の連絡をいただきました。
本当なら、わーいわーい♡と
両手を上げて喜ぶところなのでしょうが
私の心境は、
「あああ、ついに一歩踏み出してしまった。。。」
というのが正直な感想。
アイデア自体はずっと温めてたものがあって
移住して8年、郡上で暮らして感じる
こういう場所があったらいいのに
こんな取り組みが必要だよね
これは、あくまでも私の主観。
そして、まちやどが一つのアイデア表現の場でもあったのだけれど、
一人でできることの限界もあり、伝えきれないまま
まあ、伝わる人にだけ伝わればいいか
と思っていました。
ところが、
これまで郡上でマイノリティーだと思っていたそんな私の考えが
郡上カンパニーで関わる人たちと接して、同じ感覚を共有できてる実感から
「あれ?これってもしかして、私だけが考えてることじゃないの?」
って思うようになってきました。
そんならひとまずエントリーしてみて
アイデアが受け入れられるかどうかをみてみよう。
その後はそれから考えればいいか。。。
そんなノリでエントリーした今回のプロジェクト。
プロジェクト採択にあたって
審査員には市内外の有識者を始め、郡上市企画課の方もいらっしゃったわけで
採択されたということはつまり、
私が提案するプロジェクトが、国の予算を使ってでも今後の郡上市に必要な取り組みと判断された
という意味でもあるわけです。
アイデアが採択されたら、都市部から郡上に移住を前提としたビジネスパートナーを雇用する人件費の補助が出ます。
でも。。。
ビジネスを立ち上げる側(私)としては背負うリスクや労力はそんなに変わりません。
補助金という保証された環境の中でやっていこうという人と
一緒に、同じ温度、意欲で取り組めるのかしら?
という心配が、採択通知をもらっても手放しで喜べない理由の一つだと思います。
私は今まで補助金には縁がなくて
これまで幾度とチャレンジしつつもらえたことがない中
まちやどを始めてこれまで4年間続けてきた。
だから、覚悟決めて自分の責任&自分の資金でやるのが1番!
って思うようにしてたし、今もそう思ってる。
そもそも補助金が得られるかどうかは私としては大きな問題ではなくて
理想的な物件と、一緒にやろうよ!っていう賛同者が集まったら
自然とそういう流れになるんだろうなと思っていたから。
いつかご縁がつながったら
いつかそのタイミングが来たら。
そうずっと思い続けててここに至る。
その「いつか」が今なのか、
まだ実感がわかない。
今は、ちっちゃな個人事業(まちやど)と
ちょこちょこっと地元の飲食店のお手伝いをして
なんとか暮らしている私。
ある意味、それで充分といえばそうなのかもしれない。
なのに今、敢えて
まちやどの新展開として新しい事業を作る意味があるのかどうか
あるのだとすれば、それは
私の収入のためとか、私の理想を実現するためではなくて
地域の人が必要とするもの
みんなで一緒に作っていきたい!
って思う取り組みでなければならないと思う。
人件費の補助があろうがなかろうが
都市部の人だろうがすでに郡上にいる移住者だろうが地元の人だろうが
郡上で生活していくんだ!って覚悟と意欲があって
私のアイデアに共感してくれる人と作っていきたいなあって思います。
木村聖子、ただいまこんな事業を考えてます。
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●事業タイトル
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地域とつながるシェアハウス
(2地域・多地域居住を実現して空き家を活用)
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●ビジネスチャンス(ニーズ・課題)
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・UIターン
・多拠点居住希望者
・地元で実家暮らしを卒業したい若者
郡上市は移住したい都市上位にランクインするほど人気。
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不動産情報は外部にはほとんど流出しない。
住居を見つけるためにはまず地域に溶け込み個人で人脈を広げなければならない。そのための活動拠点(住居)が必要だが、住居がなければ仕事が見つけられない。仕事を見つけるためには住居が必要、という悪循環で移住への糸口が見つけられないのが現状。
移住を希望する人たちは、生活基盤ができるまでの初期費用はできるだけ抑えたいところだが、流出している不動産賃貸物件は世帯向けの1軒家で家賃は6万円以上がほとんど。生活基盤が確立していないUIターン希望者(特に単身者)には負担が大きく、さらにハードルが高くなってしまっている。
また、地元生まれの若者で実家を離れて自立した生活を希望する人も多いが、家賃の負担が大きすぎてやむなく実家暮らしを強いられているという人も少なくない。
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日中は仕事、休日は外出が多い若者(単身者)や、多拠点居住希望者の場合、プライベートルーム以外はスペースを共有した間取りの方が家賃は2−3万円と負担を抑えられ、インターネットや水道光熱費の基本料金、さらに雪かきや自治会、地域活動への参加の負担も分担できるため、シェアハウスの方がメリットは大きく、需要が高い。
・帰省や法事などの一時滞在者(親族)
郡上市は年々人口が減少。空家の数は増加している。
お盆だけ帰ってくるから…
いつか子供が(孫が)戻って来るかも知れないから…
そういった理由で空き家をそのまま放置しているケースが多いが、家は使わない期間が長ければ長いほど老朽化が激しく、再び生活ができるようにするための修繕費が余分にかかってしまう。いざ入居者を募って賃貸に…と思い立った時には修繕費がかかりすぎて直すことができない という現状が多くみられる。
また、空き家だけでなく郡上市内の高齢者世帯の家では、遠方にいる親族家族を迎え入れるために部屋の掃除や布団準備、後片付けなどが高齢により年々負担になって来たとの声も聞くことが多い。
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シェアハウスの一部に提携ご近所の親戚が帰って来た時に滞在できる空間を確保しておくことで、高齢の家族に会いにくる親族や迎え入れる地元住人の負担を軽減し、結果的に帰省の頻度が上がることを期待する。
将来的には、各町内で一軒、帰省用の宿泊機能を兼ね備えたシェアハウスを管理運営できるようになると、住み手(家族)が戻るかどうかわからない家をそのまま放置するという現状が改善されることが期待できる。
・繁忙期の季節雇用者(又は事業主)
郡上八幡は夏の繁忙期と冬の閑散期の差が激しく、観光業や飲食業は繁忙期だけ人手が欲しいといった声をよく聞くが、郡上市の観光地としての知名度が上がるのと反比例するように、人口減少により地元の高校生や主婦層のアルバイトだけでは賄いきれない状況が年々厳しくなって来ている。事業主は遠方や都市部に住む大学生やシーズンアルバイトなどの雇用を希望するが、短期間のみのアルバイトに対して住居を確保するには事業主に負担が大きすぎるため、季節雇用を採用できない。
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複数の事業主でシェアハウスの1部屋(2−4人部屋など)を確保することで通年の家賃負担を軽減できるので、季節雇用者に住居を提供でき、市外からの労働力を確保できるようになる。また市外から働きに来る人は移住希望者も想定されるので、短期間のお試し移住にもなり得る。マッチングがうまくいけばそのまま移住という可能性も期待できる。
このようなニーズと課題を解決するため、空き家(一軒家)を世帯向けではなく、多人数が宿泊できる間取にリノベーションし、上記ターゲットに低価格×多物件で貸し出す。
キッチンは地域住人とのシェアキッチンとし、住人と地域のコミュニティスペースとしてイベントを定期的に開催することで、地域住人とシェアハウス住人とのコミュニケーションを図ることを目的とし、来訪者(客)として滞在する「旅館」「ホテル」「ゲストハウス」と差別化。(住人)として、暮らすことを前提に受け入れる。
運営にかかる経費はなるべく郡上の地元の方に出資していただくよう呼びかけ、シェアハウスで得た利益は地元に還元するシステムを作り、外からの来訪者がそれぞれの目的で郡上に滞在することで地域に還元されることを目的とする。
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●参加する人やお客さんになってくれる人へのメッセージ
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移住者(移住希望者)であれ、地元の人であれ、一言に「郡上」と言っても、7カ町村それぞれに特徴があり、イメージは多様。
・郡上おどりを通じて郡上という地域と関わっていきたい!
・白山信仰、聖地、自然というキーワードで郡上と関わりたい。
・自分で事業を興すために暮らしながら学びたい。
・郡上の地域コミュニティに入り込んで学び、自分の地域に生かしたいetc…
郡上に魅力を感じ、暮らしたい目的や関わり方の可能性も人それぞれ。
自分の直感に従って、暮らしたい場所で暮らしてみる、働いてみる、人と触れ合ってみる。
そこから広がる「郡上」を見て体験して欲しいと思います。
そういう時間の中から、それぞれの思いがあるところ、縁がつながるところ、活躍できる場所を見つけて、今の仕事や生活を捨ててまるっきり新しい郡上ライフにシフトするのではなく、「骨を埋める覚悟」はなくとも、生活の比重を少しずつ郡上にシフトしながら、今いる地域と郡上との関わり方を模索してみてください。
私が企画運営するシェアハウスはそんなみなさんのきっかけの場になればと思っています。
働き方や暮らし方が多様化する現代。
家族のあり方もどんどん多様化していきます。
地元の人間じゃなくても、結婚していなくても、子供がいなくても…
血の繋がりだけでなく、地域コミュニティで協力し合うことが、高齢化、少子化の時代を乗り切っていく鍵になるはずです。
都会でも田舎でも、「老後が心配」とみんなが口を揃えていう時代。
この「地域とつながるシェアハウス」で関わった人たちが10年後には、「郡上なら老後も安心して暮らせる!」という暮らし方を一緒に作り上げていきましょう!
写真は、先日のまちやどシェアごはん。
ご飯は一人分作るも2−3人分作るも労力は一緒。
だから時々、私が時間に余裕があるときに単身移住して来た子やたまたま宿泊する人の分も作って、何人かで一緒に食事をするのがまちやどシェアごはん。
メニューの中には、ご近所さんからおすそ分けでいただいたお米やら、同じく単身移住した農家さんの野菜などがたくさん。
そういう「食事」を通して「暮らす」を感じられる場所。
今の私は「まちやど」という小さな場所で、わずかな人にしか提供できないけれど
もっと沢山の人に伝えられる場所ができたらいいなと思っています。