アルバイトと移住と重ねてみる

アルバイトと移住と重ねてみる

2017/1/6

お知らせ


お正月もすっかり明けましたね。

みなさま、年末年始はどのように過ごされましたでしょうか?

 

私の年末年始はというと、今年は久しぶりに青森の実家に帰ってみようかな?と思いつつ、飛行機のチケットを取るのをすっかり忘れてて、気がつけばフライトの価格が沸騰!

ということで、正月の帰省は諦めて宿でのんびり過ごそうと思っていた矢先…

 

かかってきました。毎年恒例!めいほうスキー場I氏からの電話。

近況報告と見せかけて、本題はアルバイトの要請なわけなのですが、今年は特に人手が足りないらしく…

話を聞くと本当に大変そうだったので、ちょっとだけお手伝いすることにしました。

 

そんなこんなで、結局12月30日から1月3日までの年末年始、がっつりシフトが入っちゃっていたわけなのですが、個人事業主になってからというもの、複数名と一緒に労働するということがほとんどないわけで、ある意味新鮮で気分転換になった期間でもありました。

 

そして、アルバイトを通じて地方と移住の縮図を見たような発見の日々。

そこで気がついたことをブログに書き留めてみようと思います。

 

私が配属になったのはレストランカウンター業務。

流れ作業なのでこれといった技術が必要なわけではなく、こう言っちゃなんですがまあ、誰でもできる仕事です。
そしてただでさえ人手不足な上に、猫の手も借りたい年末年始。ということで、この年末年始だけに駆り出された、勝手のわからない地元高校生が半分、スキー場オープン当初(役30年前?)から働いているベテランおば(あ)ちゃん(推定70代)と中堅どころのおばちゃ。。。もとい!お姉さん(推定50代〜60代)が半分といった感じ。

 

そんな中、一人ど真ん中年齢の私。

 

流れがわかっているベテランおば(あ)ちゃんたちは、チャキチャキと仕事をこなしていきます。

私はレストランの仕事も何度か経験があり、飲食店業務全般のスキルはある方なので、勝手がわからないながらもなんとなくの推測で、周りを見ながら自分で仕事を見つけてこなしていきます。

そんな中、わけもわからず、何をどうして良いのか戸惑う高校生たち。

時々おば(あ)ちゃんたちに「あれやって」「これやって」と指示されるがまま動いてはくれるのだけれど、何のためにそれをするのかは分かっていないし、言われたことだけはきちんとできるけど、指示以外に応用が求められる仕事になると動けなくなってしまう。

それでも、人手が足りず、1から説明する余裕もないため、今、必要な仕事だけを高校生たちにお願いし、おば(あ)ちゃんたちは淡々と、自分たちの業務をこなして、なんとか1日の業務が終わっていきました。

 

そうしないと、限られた時間内に準備から片付けを終えることができないというのも一つの理由かもしれない。

でも、観察していると、どうもそれだけが理由ではないように見えました。

1から説明したところで、ほんの数日間だけ手伝う高校生に教えるために時間と労力をかけるぐらいだったら自分でやったほうが早いから。

というのも理由だと思います。

 

そして、もう一つ。あの年代の人たちは、そもそも仕事というものは教えられて覚えることではなく、見て、学んで、真似て覚えていくものだという習慣の元育ってきているので、教えるということに慣れていないのではないかとも感じました。

 

たまに私が

「これは〇〇の為に使うから、こう準備して、終わったらここに片付けるんだよ」

「これはいつもここに置いてあって、ストックはここにあるから無くなったら補充してね」

と、なぜそれをするのか、備品が置いてある場所、片付け方などをきちんと説明すると、言われたことだけじゃなくて、プラスαで動いてくれるし、自分から、「次、これやりましょうか?」って言ってきてくれて、一緒に働いていてとてもやりやすかったし、仕事もスムーズになったのを実感しました。

「この子、仕事できないなー」

なんて思っていた子が、1日の間でどんどん仕事を吸収して、2日目には自発的に動けるようになり、心に余裕が出てきて、ちょっとした仕事の合間におばあちゃんたちとの会話が生まれて、お互い笑顔が出てくる。

 

これ、アルバイトだけでなく、移住でも同じことが言えると感じました。

日々の流れ(これまで先祖から脈々と受け継がれたきたしきたりや習わし)をこなしていくおばあちゃん(地元の人)たち。

そこに勝手がわからず戸惑いながら入ってくる高校生アルバイト(若者移住者、都会育ち)。

おばあちゃん(地元の人)は、日常の業務をこなしていく中で、高校生(若者移住者、都会育ち)に覚えてもらいたいことはたくさんあるけれど、1から10まで教えている暇がない。

苦労して教えてあげたところで、せいぜい3日〜1週間経てばいなくなってしまうかもしれない。(とりあえず郡上に住みたいとは思ってますけど、1年先に郡上にいるかは分かりません)。

もしかして、その高校生アルバイト(若者移住者、都会育ち)が、今シーズン、ずっと常勤としてシフトに入るなら(例えば3年は必ず郡上にいるし、なんなら骨埋める覚悟っす!っていう意気込みが感じられる移住者)、おばあちゃんたちの教える姿勢も違うかもしれない。

でも、そういう常勤アルバイト(ずっと郡上に居る意気込みでやってきた若者移住者)に、時間をかけ、労力をかけ、じっくりおしえてくれるという面倒見の良いおばあちゃん(地元の人)がいたとしても、自分たちの世代と仕事の仕方、ものの覚え方が違いすぎて、何をどう教えて良いのかわからない。

そして生じるコミュニケーションエラー。

おばあちゃん:「あの子は教えてもちっとも働かない」(この地域に馴染もうとしてない)

高校生:「この職場(土地)は働きづらい(住みづらい)」

 

例えば、おばあちゃん10人に対して、高校生1人ぐらいの比率なら、何日シフトに入るかわからない高校生でも、おばあちゃんたちは世話を焼いて色々教えるだろうし、高校生アルバイトはわからないなりにも少しずつ仕事に慣れてきて仕事が楽しくなってくるかもしれない。

そしたら、もしかして短期間のつもりが、冬の間ずっと働くことになるかもしれないし、さらにすごいことに、そのままスキー場に就職!って事も起こるかもしれない。

でも、今回の年末年始みたいに、ベテランスタッフ半分に対して新人半分の場合は。。。

 

しかも、そのアルバイトの求人広告が、

やる気と元気のある方!経験不問!初心者大歓迎!先輩が親切丁寧に教えます。
※住居完備。
※3ヶ月以上勤務の方はミニボーナス付き!

 

なんて告知してたら、そりゃもう、

「今のバイト(都会での暮らし)より条件いいし、行ってみよっかな」

って、都会の暮らしに疲れている若者は魅力を感じるだろうね。

でも実際そういう新人アルバイトとベテランスタッフのバランスが崩れると、とっても働きにくい職場(地域)になるのではないかと危惧している今日このごろ。

郡上は今のところ、そのバランスが保たれていて、とてもいい地域だと私は感じているのだけれど、どんな地域でも、移住を推進しているのであれば、ベテラスタッフと新人スタッフのバランスを慎重に整えて行っていかないと、ただただベテランスタッフの負担が増えるばかりで、新人バイトに引っかき回されて、結局3ヶ月後のミニボーナス貰ったら誰も残らない。

そんな状況も起こってしまうのではないかと感じます。

 

青森のド田舎で生まれ育って、大都会東京、そして海外(イギリス)を経験した私にとって、暮らしてきた土地も、世代も、経験値も、もろにど真ん中。

仕事で言ったら試用期間が終わって仕事も覚え、新人の面倒も見なきゃいけない先輩アルバイトってやつですかね?

そして、ベテランスタッフ(地元の人)が戸惑うのも、高校生(移住者)が戸惑うのも、手に取るようにわかるし、その間の橋渡し役がこれからとっても重要になる気がしています。

そして、自然とそういう役割になりつつある自分も感じていますが。。。

 

でもね!
普通、新人バイトって試用期間は時給安いでしょ?
郡上では、新人バイトの方がベテランスタッフより高待遇のような部分も垣間見えるのが、どうなのかな〜と思うわけです。
アルバイトの中堅どころは、新人教育やら在庫管理やらいろんな仕事が増えていく代わりに時給も上がるわけでしょ?
ベテランや中堅スタッフが安定して働いていける職場(地域・人間関係)こそ、新しい人を受け入れ育てていく余裕が持てるしわけで、そういう人材を大切にすることが、移住者を受け入れていく地域では、地元の人と新しく来る人たちが円滑に暮らしていくために必要なのではないでしょうか?

と、久しぶりのアルバイトを通じて強く感じた年末年始でした。

※写真は、まちやど近所のカフェ eBANATAw前で休憩する近所のおばあちゃん。
撮影 近藤佳奈